○美浦村監査基準
令和2年3月27日
監査委員訓令第1号
美浦村監査基準(平成25年美浦村監査委員訓令第1号)の全部を次のように改正する。
第1章 総則
第1節 一般基準
(目的)
第1条 この基準は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)及び地方公営企業法(昭和27年法律第292号)の規定に基づいて監査委員が行う監査、検査及び審査(以下「監査等」という。)の実施に関し、必要な事項を定めるとともに、議会及び村長並びに関係する行政委員会等との関係を明確にすることを目的とする。
(基本方針)
第2条 監査委員は、監査等を実施するに当たっては、美浦村の財務に関する事務の執行及び美浦村の経営に係る事業の管理(以下「事務事業」という。)が、法第2条第14項及び第15項の規定趣旨に基づいて行われているかどうかに、特に重点を置いて監査等を実施しなければならない。
第2節 監査等の種類
(監査)
第3条 監査の種類は、次の各号に掲げるとおりとする。
(1) 定期監査(法第199条第4項の規定による監査)
毎会計年度少なくとも1回以上期日を定めて、次の事項について行うもの
ア 美浦村の財務に関する事務の執行が、適正かつ効率的に行われているかどうかを主眼として実施するもの
イ 美浦村の経営に係る事業の管理が、合理的かつ効率的に行われているかどうかを主眼として実施するもの
ウ 必要に応じ、美浦村の事務事業の執行に係る工事について、当該工事の設計、施工等が適正に行われているかどうか、また、建物等の維持管理が良好であるかどうかを主眼として実施するもの
(2) 随時監査(法第199条第5項の規定による監査)
必要があると認めたとき、定期監査に準じて実施するもの
(3) 行政監査(法第199条第2項の規定による監査)
必要があると認めるとき、美浦村の事務又は法定受託事務(地方自治法施行令第140条の5に定める事務を除く。)の執行が、合理的かつ効率的に行われているか、法令等の定めるところに従って適正に行われているかどうかを主眼として適時に実施するもの
(4) 財政援助団体等に対する監査(法第199条第7項による監査)
財政援助を与えている団体又は出資・支払保証団体等に対し、必要があると認めるとき、又は村長の要求に基づき、当該財政援助等に係る出納その他の事務の執行が適正かつ効率的に行われているかどうかを主眼として実施するもの
(5) 公金の収納又は支払事務に関する監査(法第235条の2第2項又は地方公営企業法第27条の2第1項の規定による監査)
指定金融機関等に対し、必要があると認めるとき、又は村長の要求に基づき、公金の収納又は支払の事務が、法令等の規定及び指定契約の約定のとおり行われているかどうかを主眼として実施するもの
(6) 住民の直接請求に基づく監査(法第75条の規定による監査)
請求に係る事務の執行について実施するもの
(7) 議会の要求に基づく監査(法第98条第2項の規定による監査)
要求に係る事務について実施するもの
(8) 請願の措置としての監査(法第125条の規定に関する監査)
議会が採択した請願のうち、監査委員において監査することにより措置することが適当と認められたものについて実施するもの
(9) 村長の要求に基づく監査(法第199条第6項の規定による監査)
請求に係る事務の執行について実施するもの
(10) 住民監査請求に基づく監査(法第242条の規定による監査)
請求の内容について実施するもの
(11) 村長の要求に基づく職員の賠償責任に関する監査(法第243条の2第3項又は地方公営企業法第34条の規定による監査)
要求に係る事務の有無等について実施するもの
(検査)
第4条 検査は、例月出納検査(法第235条の2第1項の規定による検査)とし、村長及び会計管理者の保管する現金(歳計現金、歳入歳出外現金、一時借入金、基金に属する現金及び預かり金を含む。以下同じ。)の在高及び出納関係諸表等の計数の正確性を検証するとともに、現金の出納事務が適正に行われているかどうかを主眼として実施するものとする。
(審査)
第5条 審査の種類は、次に掲げるとおりとする。
(1) 決算審査(法第233条第2項又は地方公営企業法第30条第2項の規定による審査)
決算その他関係諸表等の計数の正確性を検証するとともに、予算の執行又は事業の経営が、適正かつ効率的に行われているかどうかを主眼として実施するもの。
(2) 基金の運用状況審査(法第241条第5項の規定による審査)
基金の運用状況を示す書類の計数の正確性を検証するとともに、基金の運用が、適切かつ効率的に行われているかどうかを主眼として実施するもの
(3) 健全化判断比率等審査(地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条第1項及び第22条第1項)
健全化判断比率及び資金不足比率並びにそれらの算定の基礎となる事項を記載して書類が法令に適合し、かつ正確であるかを主眼として実施するもの
(4) 内部統制評価報告書審査(法第150条第5項の規定による審査)
村長が作成した内部統制評価報告書について、村長による評価が適切に実施され、内部統制の不備について重大な不備に当たるかどうかの判断が適切に行われているかを主眼として実施するもの
第3節 倫理規範
(監査委員の使命)
第6条 監査委員は、法令により定められた権限に基づいて、事務事業の執行について監査等を実施し、その結果を報告及び公表することにより、民主的かつ効率的な行財政の執行に資し、もって住民の福祉の増進と地方自治の本旨の実現に寄与しなければならない。
(監査委員の責務)
第7条 監査委員は、美浦村の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有し、その職務を遂行するに当たっては、常に公正不偏の態度を保持して、監査を実施しなければならない。
2 監査委員は、職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
3 監査委員は、適切な監査計画に基づいて、監査委員の事務を補助する職員(以下「事務補助職員」という。)に対して必要な指示をしなければならない。
(事務補助職員心得)
第8条 事務補助職員は、職務の遂行に当たっては、次の各号に掲げる事項に留意しなければならない。
(1) 職責の重大性にかんがみ、常に研修に心がけ、法令、条例、規則等(以下「法令等」という。)に精通するとともに、絶えず村政の現状に関心を持ち、監査等の参考となるような資料の収集に努めること。
(2) 監査等の実施に当たっては、監査委員の監査方針に従い、監査対象についてあらかじめ十分に研究すること。
(3) 監査等の実施に当たっては、常に公平謙虚な心構えを持ち、能率的に実施するとともに、職務上知り得た秘密を他に漏らさないこと。その職を退いた後も、同様であること。
(4) 監査等の進捗状況は、絶えず上司に報告し、重要事項その他疑義のある事項については、その都度指示を受けること。
(5) 監査等の終了後は、速やかに復命書を作成し、監査委員に復命すること。
(6) 復命書は、事実の記載を主とし、自己の主観的判断を避け、要領よく、かつ精密に記録すること。
第2章 監査の実施
第1節 実施基準
(実施の基本方針)
第9条 監査等の実施に当たっては、事務事業の執行が予算及び議決並びに法令等に基づいて行われているかに留意し、積極的かつ指導的に実施しなければならない。
(計画的な監査等の実施)
第10条 監査等を効率的かつ効果的に実施するため、リスク(組織目的の達成を阻害する要因をいう。以下同じ。)の内容及び程度、過去の監査結果、監査結果の措置状況、監査資源等を総合的に勘案し、年間監査計画を策定するとともに、適切な実施計画を作成し、これに基づいて秩序整然と、適時に実施しなければならない。
(内部統制に依拠した監査等)
第12条 前条のリスクの内容及び程度の検討にあたっては、内部統制の整備状況及び運用状況について情報を集め、判断するものとする。
2 監査委員は、監査等の種類に応じ、内部統制に依拠する程度を勘案し、適切に監査等を行うものとする。
(監査等の調整)
第13条 監査等の計画の策定及び実施に当たっては、個々の監査等に有機的な関連を持たせ、総合して成果が上がるように調整運用しなければならない。
(監査等の実施手続の適用基準)
第14条 実施手続の適用は、監査等の種類、対象、目的、管理点検体制及び内部監査(内部考査)の信頼性の程度を勘案して、試査又は精査による。試査による場合はその範囲を合理的に決定しなければならない。
2 試査は、監査等の対象となっている事項について、その一部を抽出して調査し、その結果によって、全体の正否又は適否を推定するものとする。
3 精査は、監査等の対象となっている事項について、全部にわたり精密に監査し、その正否又は適否を明らかにする。
(合理的証拠確保の基準)
第15条 監査委員は、監査項目の重要性、その他の諸要素を十分考慮して、合理的な証拠を入手するまで監査等を実施しなければならない。
(事前通知)
第16条 監査等を実施するに当たっては、特別の場合を除き、村長又は関係のある行政委員会等に対し、監査の種類、期日、場所等をあらかじめ通知する。
(資料要求等)
第17条 監査等を実施するに当たっては、あらかじめ項目及び様式を定めて監査等に必要な資料を提出させ、必要に応じて事務事業の概要について説明を求める。
(事前研究)
第18条 監査等を実施するに当たっては、対象となる事務等についてあらかじめ関連する法令等の調査研究を行い、基礎知識をかん養する。
2 前条の規定に基づき提出された資料について検討し、その問題点を把握する。
3 前回までの監査等における指摘内容及び問題点等を把握する。
(監査等の着眼点)
第19条 第18条第2項の規定に基づく実施計画において定める監査等の着眼点は、別に定める監査等の着眼点のうちから適宜選択するものとする。ただし、監査等の対象により、必要に応じて、その都度着眼点を追加して定めるものとする。
第2節 監査等の実施手続
(監査等の実施手続の選択適用)
第20条 監査等は、契約書、関係諸帳簿、証拠書類等に対して、次の各号に定める監査技術を選択適用し、通常実施すべき監査等の実施手続及び必要と認めるその他の監査等の実施手続として実施する。
(1) 通常実施すべき監査等の実施手続
ア 照合 証憑突合、帳簿突合及び計算突合等のように関係諸記録を相互に突き合わせ、その記録又は計算の正否を確かめること。
イ 実査 事実の存否について、実地に現物検証、現場検証等によって直接検証すること。
ウ 立会 主として物品等の在庫高調査又は実地棚卸しを行う際に、現場に立ち会い、その実施状況を視察して正否を確かめること。
エ 確認 事実の存否について、写真その他の証拠書類、又は当該事項に関係のない第三者の証言等をもって確認すること。
オ 質問 事実の存否又は問題点について、監査対象部課の職員などに質問して、回答又は説明を求めること。
カ 分析 事実の性質、内容を究明し、これを構成要素別、時間別、比率別、問題別等に分析して異常の有無を確かめること。
キ 比較 年度別、時間別、関係要素別等による複数の数値を対照させて観察し、その異同を通じて問題点の有無を確かめること。
(2) その他の監査等の実施手続
ア 通査 帳簿等関係諸記録を一通り検討して、異常事項や例外事項を発見し、問題点を明らかにすること。
イ 比率吟味 財務分析上の比率法を応用して、記録の正否又は適否を大局的に判断すること。
ウ 調整 源泉を等しくし、相互に関連のある計数が別々に整理されている場合、それら二組の計数の過不足を追求し両者が事実上一致するかどうかを確かめること。
エ 総合 諸種の事実を総合して、総括的な観点から事実を判断すること。
(監査等の講評)
第22条 監査等に基づく監査対象部課等の長に対する講評は、監査の結果に関する報告の決定の前に行い、これに対する弁明又は意見を聴取するものとする。
第3章 報告基準
第1節 監査等の事前手続
(監査計画の作成)
第23条 年間監査計画は、次に掲げる事項について定める。
(1) 年間における実施予定の監査等の種類及び対象
(2) 監査等の対象別実施予定時期及び監査等の実施担当部課名
(3) その他監査等の実施に関し必要と認める事項
2 実施計画は、監査等の種類別に次の各号に掲げる事項その他監査委員が必要と認める事項について定める。
(1) 監査等の種類
(2) 監査等の対象
(3) 監査等の対象期間
(4) 監査等の担当者及び事務分担
(5) 監査等の基本方針
(6) 監査等の実施場所及び日程
(7) 監査等の項目及び着眼点(評価項目)
(8) 監査等の実施手続の選択
(9) 監査等の結果
(10) その他監査等の実施上必要と認める事項
4 監査委員は、是正又は改善が必要である事項が認められる場合、その内容を監査等の結果に記載するとともに、必要に応じて、監査等の過程で明らかとなった当該事項の原因等を記載するよう努めるものとする。
5 監査委員は、内部統制評価報告書審査においては、村長による評価が評価手続に沿って適切に実施されていないと考えられる場合及び内部統制の不備について重大な不備に当たるかどうかの判断が適切に行われていないと考えられる場合には、その内容を記載するものとする。
第2節 監査の結果
(監査の結果に関する報告書の作成及び提出)
第24条 監査委員は、監査等の結果に関する報告書を作成し、次の各号により提出するものとする。
(2) 第3条第6項については、議会、村長並びに請求人の代表者
(4) 第3条第10号については、請求人
(5) 第3条第11号については、村長
(意見書の提出)
第25条 監査委員は、決算審査、基金運用審査、健全化判断比率等審査及び内部統制評価報告書審査を終了したときは、意見書を村長に提出するものとする。
2 職員の賠償責任に関する監査の結果において、村長から賠償責任の免除について意見を求められたときは、意見書を提出しなければならない。
4 監査委員は、監査等の結果に関する報告については、当該報告のうち特に措置を講ずる必要があると認める事項については勧告することができる。
(報告書等の作成基準)
第26条 報告書等には、監査委員の責任の範囲を明確にするために必要な項目を記載する。
2 監査等の結果は、簡潔明瞭かつ平易な文章で記述し、誤解を招く表現のないように留意しなければならない。
3 指摘事項については、合理的な基礎に基づかなければならない。
(報告書等の提出等以前の周知の禁止)
第27条 監査等の結果は、原則として、報告書等の提出以前に、村長又は関係のある行政委員会等の関係者以外の者に知らせてはならない。
第3節 監査等の実施
(報告の聴取)
第28条 監査委員は、地方自治法施行令第168条の4第3項又は地方公営企業法施行令第22条の5第3項の規定により、指定金融機関等に対する検査の結果について、村長又は会計管理者に対して報告を求めるものとする。
(合議)
第29条 報告等の決定のうち、次の各号に掲げる事項については、監査委員の合議によるものとする。
(2) 監査の結果に関する報告に添える意見の決定
(3) 監査の結果に関する報告に係る勧告の決定
(4) 決算審査に係る意見の決定
(5) 基金運用審査に係る意見の決定
(6) 健全化判断比率等審査に係る意見の決定
(7) 内部統制強化報告書審査に係る意見の決定
2 監査委員は、監査の結果に関する報告の決定について、各監査委員の意見が一致しないことにより、前項の合議により決定することができない事項がある場合には、その旨及び当該事項についての各監査委員の意見を議会、村長及び関係のある委員会又は委員に提出するとともに公表するものとする。
(報告等の公表)
第30条 監査委員は、次に掲げる事項を監査委員全員の連名で公表するものとする。
(1) 監査の結果に関する報告の内容
(2) 監査の結果に関する報告に添える意見の決定
(3) 監査の結果に関する報告に係る勧告の内容
(措置状況の公表等)
第31条 監査員は、監査の結果に関する報告を提出したもの及び監査の結果に関する報告に係る勧告をした者から、措置の内容の通知を受けた場合は当該措置の内容を公表するものとする。
2 監査委員は、監査の結果に関する報告を提出した者及び監査の結果に関する勧告をした者に、適時、措置状況の報告を求めるよう努めるものとする。
(報告書等の記載事項)
第32条 監査報告書、検査報告書及び審査意見書には、おおむね次の各号に掲げる事項を簡潔明瞭に記載する。
(1) 報告等の提出日付
(2) 監査等実施した監査委員名
(3) 監査等の種類
(4) 監査等の概要
ア 監査等の実施期間
イ 監査等の対象とした部課等又は事務所名若しくは事業所名(財政援助団体等にあっては団体名)
ウ 監査等の対象とした事項及び範囲(出資団体等にあっては採用している会計基準)
エ その他監査等の目的又は着眼点
附則
この訓令は、令和2年4月1日から施行する。